メインダイニング「THE FUJIYA」で継承してきたことを丁寧に供する感じがいい

thefujiya2_00東名まで繋がったことで、縦方向のアクセスに絶大な威力を発揮してくれてびっくりの圏央道。
海老名からそのまま冬晴れの小田原厚木道路を辿って、雪化粧の霊峰を眺めつつやってきたのは、箱根・宮ノ下。
昭和5年(1930年)に建造の主食堂で素敵なコンソメと優しいビーフカレーをいただいた後、花御殿の地階に潜り込む。
ホテルの室内プールとしては日本で一番に誕生したものと云われているプールを覗いてから、その脇にある太閤湯へ。
その浴場の意外な狭さにもちょと吃驚いたものの、それも往時からのものと思えば居心地も変わってきます。

部屋でちょっくら寛いでから、ホテルの敷地内を散策してみる。
西洋館は、明治39年(1906年)建造の登録有形文化財。thefujiya2_01その並びには、同じく登録有形文化財の本館の屋根やサンルームが見えてきます。

そして本館の右隣には、今しがたおひるをいただいたメインダイニング「THE FUJIYA」の入る食堂棟。thefujiya2_02一見こじんまりに見えて、裏手にあるグルリ「ウイステリア」の入口に廻り込んでみると奥行きのある建物であることが分かる。
食堂棟も勿論、登録有形文化財に指定されています。

そんな敷地内の主だった建物が登録有形文化財という富士屋ホテルには、「館内ご案内ツアー」なる催し物がある。
日によって巡る場所は違うようだけれど、歴史由緒があれこれありそうな館内を案内してくれるなんていいね、ということで集合場所の花御殿地階のクラシックチャペルへ向かいました。

祭壇の手前では如何にも柔和なホテルマンらしいコンシェルジュが、創業者山口仙之助や3代目山口正造の写真を手に、手慣れたハキハキした口調で創業往時からのホテルのあらましを説明してくれる。thefujiya2_03thefujiya2_04花御殿を描いたチャペル入口のステンドグラスには、一羽の鳩がとまっています。

ぞろぞろと移動したのは、さっきおひるしたばかりの富士屋ホテルのメインダイニングルーム「THE FUJIYA」。thefujiya2_05意外と多くのひとがツアーに参加していることが分かります。

例えば、天井に描かれた花々、鳥や蝶について。
例えば、中央付近の頭上に設けられた舞台の欄干と大引きの木口に彫られた色々な絵柄について。thefujiya2_06当時からゴルファーの絵が彫られたのは、大正6年(1917年)開場のパブリックコースを持つ、富士屋ホテルならではだね。

そして、云われるまでまったく気がつかなかったのが、各所の柱の足元にある顔の彫刻。thefujiya2_07トーテンポールを思わせるその彫刻は、三代目山口正造が、ホテルのスタッフの仕事ぶりに対して睨みを利かせる意味が籠もっているのだそう。
テーブルに腰掛けて目に留まる位置・高さにあると正造氏の分身に睨まれているようで少々食事し難いかもだけど、こうして足元に置いたところがミソだね。
まぁ、そんなにホテルのスタッフが信用ならんのかとも思うけど(笑)。

夕食にと、ふたたび、いや本日三度めの「THE FUJIYA」に足を運ぶ。
今度は、三方に凸部のある正面側のテーブルへご案内。thefujiya2_08選んだワインは、ロワールの白「CHINO les chanteaux」です。

前菜は、「海の幸のマリネ 柚子風味のヴィネグレット」。thefujiya2_10ねっとり旨いサーモンや帆立などにほんのりと柚子の香りを利かせて酸味柔らかなドレッシング。
お皿には、食堂棟と花御殿の外観を描いたと思しき図柄があしらわれています。

スープは、ひるどきにコンソメだったがゆえ、ポタージュで。thefujiya2_11コンソメの感心ほどではありませんが(笑)、丁寧に拵えたことを思わすコーンポタージュでありました。

お魚料理はと、「ほうぼうのフリット 菜の花のピュレにタプナードソース」のお皿がすっとくる。thefujiya2_12ほっこり甘い魴鮄の身に緑のタプナードが、いい。
菜の花の翠色ソースが鮮やかです。

お肉料理は、「ローストビーフにヨークシャープディング添え」。thefujiya2_13大きな肉塊から切り出した様子がよく判る大判のローストビーフ。
あくまでもしっとり柔らかなローストビーフにまろやかなグレービーソースがよく似合います。

デザートは、「苺のブランマンジェにシャーベット」。thefujiya2_14ブラン・マンジェが美味しい、真っ白ではないけれど(笑)。
ご馳走さまでした。

フロント前のロビーからメインダイニングに至る通路の途中に数段の階段がある。thefujiya2_15すっかりお正月飾りがされて、通路の役割は果たしてないようだけど、どこへ行ける階段なのか気になってなりません(笑)。

富士屋ホテルのメインダイニング「THE FUJIYA」でディナータイム。thefujiya2_16給仕してくれたおねえさんたちは、とても真っ直ぐに修練をし務めてくれているように思う。
処変わればちょっと古臭いと云われるやもしれないお皿たちがなんの違和感もなく美味しく楽しめた。
華美でも過多でもなく、承継し培ってきたことを信じて丁寧に供する感じがいいのですね。
花御殿地階の史料展示室でみた手書きのレシピを思い浮かべながら、そう想うのでありました。

口関連記事:
メインダイニング「THE FUJIYA」で花御殿の佇まい素敵なコンソメ優しきカレー(15年02月)

「THE FUJIYA」
神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359富士屋ホテル [Map]
0460-82-2211
http://www.fujiyahotel.jp/restaurant/thefujiya/index.html

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