おかみ丼々「和田」で 和むとうがんのたいたん大羽鰯の生姜煮

wada.jpg築地場外市場の区画から、 築地四丁目交叉点を挟んだ斜向かい。 暮れ泥む空の下、鮨「竹若 別館」の脇を入る裏道へとやってきました。 夜の営業中を知らせる「ふじむら」の札を横目に、 その先へとつつっと進む。 知ってるひとは知っている、 以前「ふじむら」があった場所は今、 木目活かした粋な意匠のお店に替わっています。

wada01.jpg予約でほぼ満席のL字カウンター。 ご無沙汰のご挨拶をして、L字の角の辺りに腰を据えます。 口開きはやっぱり、プレモルのグラスでとなりましょう。

お通しは、三種のお惣菜。wada02.jpg三つの区画のそれぞれに、 しぐれ煮、菠薐草の白和えに花豆の含め煮が、いらっしゃい。

カウンターとは別に設えてある、 “く”の字をした変形コーナーのテーブルには、ででんと冬瓜の実がふたつ鎮座。wada03.jpgああ、時季のヤツがいただけそうだと早速、 初物の「とうがんのたいたん」をお願いと女将に声を掛けます。

ウリ科の夏野菜が優しい酒肴に仕立てられ。wada04.jpg鶏のそぼろに葛のあん。 塩梅よく炊いた冬瓜が、歯応えありつつもとろんと解ける。 仄かな生姜の風味が涼味を引き立てて和ませるんだ。

wada06.jpg 「本日夜のおしながき」を眺めてあれこれ迷うのもまた、 愉しからずや。wada07.jpgじゃが芋の食感を程良く残した「ポテトサラダ」は、 ビールにもお酒にも合う定番のお皿です。

この夜の目玉食材のひとつが、 大家さん仕込みの新鮮かつ大振りな鰯。wada08.jpg煮付けもいいねと注文んだは、「大羽いわしのしょうが煮」。 ぼうずコンニャクさんの「市場魚貝類図鑑」によれば、 20cm以上のものを「大羽鰯(おおばいわし)」と呼ぶらしい。 加減よく脂ののって、ほろっ解ける鰯の身にきりっと生姜の利いた煮付けの醤油。 あはは、うんま~い、と思わず笑ってしまいます(笑)。

女将がなみなみと注いでくれたのは、 京都・伏見の「澤屋まつもと 純米山田錦700k」。wada09.jpgお燗と冷やと試してみたところ、 個人的には冷やが合うなぁと。 700kとあるのは、 総量700kgという少量で丁寧に仕込んだものであることを示しているそう。

「初物とうがんのたいたん」に並ぶもうひとつの”たいたん”も所望する。wada10.jpg「牛すじと大根のたいたん」は、 出汁をたっぷり吸いつつも、大振りな輪切りの威厳を保った大根が主役。 滲み出る旨味に含む酸味がまたお酒を誘うのであります。

別のお客さんが口にする様子に辛抱堪らず(笑)、 もうひとつの鰯料理もお願いしてしまう。wada11.jpg揚げ立てハフハフの「大羽いわしのフライ」が、美味しくなかろう筈もなし。 鰯独特の風味を纏った旨味をしっかと味わうようにそっと目を閉じる。

wada12.jpg仕上げにと「自家製ちりめん山椒のおにぎり」。 凸凹に握ったおにぎりには、実山椒のぴりっとした風味が利いている。 お椀も欲しいと我が侭云って、一気に平らげてしまいます。

築地二丁目の裏道に京風漂う家庭料理の店、 おかみ丼々「和田」が生まれて早や9ヶ月余り。wada13.jpg昼は、京都秘伝の出汁による三種のどんぶり。 夜は、おばんざい的大皿料理や京風小鍋と一升瓶たち。 そして、人懐っこい女将の笑顔が待つカウンターは、 いつの間にか一杯になってゆくのです。

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「和田」 中央区築地2-14-14 [Map] 03-5565-0035 http://www.okamidon.jp/
column/03393

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