
すっかり夜の帳の降りた京都・東山。
白川沿いの暗い夜道を抜けていくと、
急に開けた感じの界隈に出る。
右に視線を振ると、朱塗りの橋の欄干が見えてくる。
その先を見上げれば、
そこには大きな鳥居の偉容に臨みます。
夜の曇天を薄っすらと照らすのは、どこの灯りでしょう。

平安神宮の大鳥居の右手には、京都市美術館が佇んでいます。
そのまま鳥居を潜って、岡崎通りの方へと抜けてゆく。
左手に平安神宮の杜を見ながら往けば、今宵の寄り道の目的地が見えてきます。
ひっそりとした界隈とは対象的に、「グリル小宝」の店内はなかなかの賑わい。
観光ちっくなテーブルに地元の方々らしきテーブルも混じります。
隅のテーブルに腰掛ければ、目に飛び込む「カキフライ、やってます。」の文字。

そうとなれば、お願いしない訳にはいかないでしょう(笑)。
メニューには、「カキフライ(冬季限定)Oyster katu」とある。
そうかそういや”katu”なのかもね、と微笑ましく思いつつ、
でも”fried”でいいんじゃないかなぁとも素朴に思う。
ビールの小瓶をやっつけていると、お待たせしましたと御兄さん。

単品1,600円のお値段に恥じないお皿のボリューム感。
たっぷりたっぷり添えたタルタルソースが嬉しいな。
しっかり色付いた衣の表情をまず愛でる。



タルタルの方へ視線を回り込ませれば、溢れ出す溶岩流のよう。
左手には付け合わせナポリタンが潜んでいます。
檸檬をさっと絞り、かぷっとかじって、ああ、旨い。

衣の香ばしさと牡蠣のミルクの滋味が一瞬間の裡に渾然と昇華する。
その美味しさを十分確認し愉しんだら、
件のタルタルソースをたっぷり載せていただきましょう。
京都で夙に知られた洋食の一軒、「グリル小宝(こだから)」。


お隣のテーブルに見た量感たっぷりの「オムライス」や「ヤキメシ」。
「カレーライス」「マカロニグラタン」に「カツサンド」「ビーフシチュー」などなど定番の逸品も試してみたい。
1,400円の「ハムエッグ」って一体どんな?と思いつつ、一番気なるのは「エビジクセル」。
“ジクセル”ってなんだろう?
そんなことを考えながら、平安神宮を背にするのでありました。
「グリル小宝」
京都市左京区岡崎北御所町46 [Map] 075-771-5893
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