焼肉の名門「天壇」で ロースと筍×ひかり味噌カツのミルフィーユ

tendan.jpgデュープレックス銀座タワー5/13。 建物名の最後についた不思議な採番は、 どうやら丁目番地を示すものらしい。 三原橋交差点に面してすっくと屹立する佇まいは、 歌舞伎座が取り壊された今では、 界隈のちょっとしたランドマークになっています。 ソソる肉が喰いたい、そう想った時には、 このビルのエレベーターの10Fボタンをポチとする。 混雑してなきゃいいのだけど、 と心配になる「天壇」へとまっしぐら。
出足の良かった所為か、まだなんとか窓際のカウンター席に空きがある。 席に着いたら早速、席を離れて(笑)、バイキングのテーブルへ。 tendan01.jpg tendan02.jpgtendan03.jpg チヂミ数種やスジ煮込み、ナムルあれこれ、チャプチエにサラダたちが並んでいます。 お皿にとって席に戻ると、既に「天壇カルビランチ」が準備万端。 さぁ、いただきましょう。

tendan04.jpgロースターに載せた肉を横目にしながらチヂミやナムルをいただく。 焼き過ぎないように、手にしたトングでさっとカルビを挟んでタレの小皿へ。 恥ずかしながらちょっと気が急いたように口に運びます。 なはははは、やっぱり旨い。 tendan05.jpg脂が甘く解けて、嫌味のない旨みが口腔に迸ってはすっと消える。 焼肉の本懐は赤身にあるだなんて今は決して思えない(笑)。 そのままでも十分イケる肉をさらに昇華させてくれているのが、「天壇」特製のつけダレ。 それは、コンソメ色したタレのベースは牛骨から摂ったフォン。 折角もみダレが利いたお肉を汁の類に浸けてしまうなんて、NGでしょって思うところを裏切るように巧いこと肉の魅力をもう一段高いところへ誘ってくれるンだ。

天井に張ったミラーパネルに逆さまに映る交差点の様子を眺めながら、 食後のコーヒーを啜ります。tendan06.jpg


そんなランチも魅惑の「天壇」の、夜の部へお邪魔しました。 やっぱり、麦酒を生を!と云ってしまうステレオタイプに自省しつつ、でもいいじゃん!と開き直ってグラスを傾けます。

tendan07.jpg月島「凛」を思い出しながらお願いしたのは、「厚切りタン」。 器には、十分厚切りの、丁寧にひと皮剥いたような印象のタンが鎮座。 「凛」の牛タンの厚さそのものには到底及ばないけど、まぁ兎に角厚けりゃいい、ってもんでもないしね。 そこへ、それなりによーく焼かないと噛み切れなくなります、と店長の的確なアドバイス。 焼きが足りずに噛み切れなかった「凛」での失敗が蘇ります(汗)。 そこそこしっかり両面を焼いた厚切りのタン に薬味をのっけて、いざ。tendan08.jpgむほほほほー。 すっと噛み切れる柔らかな歯応えの後から、真っ直ぐな旨みが訴える。 確かに薄切りでは味わえない、魅力の領域なのですね。

tendan09.jpg 「ハイボール」をお願いすると、 そのグラスには「山崎 京都ハイボール」の花札マーク。 そうだ、そもそも「天壇」は、肉の都、京都・祇園、南座の裏手に本店を構える店だものな。

続くお肉は、「天壇」が看板メニューと謳うロースを使った「ミルフィーユロース」。tendan10.jpgもみタレに浮かんだサシの入った肉は、 例えば単なるしゃぶしゃぶ肉とも、機械でスライスした肉とも違うご様子。 一枚焼きますね、と加減をみて炙るように焼いてくれた店長は、 その肉をくるくるんとして、例のつけタレに浸してくれます。tendan11.jpgだはははははー。 こいつぁー、旨いや、文句なし(笑)。 しゃぶしゃぶ肉をただ焼いたんじゃ、こんな風に美味しいシグナルが脳裏を駆け巡ることはきっとない。 ズルい、とだけ申し上げておきましょう。


そろそろお出ししましょうか、ということでやってきたのが、茶碗蒸しに始まる四品の器。 「天壇」の厨房の面々が、ひかり味噌謹製の「有機味噌」と旬を迎えようとしている筍とを駆使したレシピを考案してくれたのです。

ひかり味噌」というのは、 長野の諏訪に本社工場を構える味噌メーカーで業界三位だそう。 自然のおいしさを堪能できる有機JAS認定の味噌で、スーパーマーケットの陳列棚でも ㊒マークを白抜きした青や赤のパッケージなどの「ひかり味噌」ブランドが見つかるそうだ。 ご存知でした?

木の芽を彩りに頂いた、筍のスライスが浮かぶ茶碗蒸し。tendan12.jpg匙からつるんと口元から吸い込むと、ふわっと味噌の風味のする。 お出汁と玉子の掛け算を愉しむ茶碗蒸しを味噌の風味が包む感じ。 少しだけ味噌を控えめにしたらば、 三位のバランスが揃って、より小粋だったかもしれません。

カリッと唐揚げにした筍にも、ふむふむ、味噌の風味がよく似合う。tendan13.jpgカレー粉や胡椒などのスパイスや大蒜・生姜といった香味野菜を利かすのとはまた違う。 ほんのりと品よく、でもしっかりと風味を挿すような真似もできるのも調味料としての味噌の使い勝手のよさなのかもね。

味噌と揚げ物の相性についてそんなことを考えながら、もうひとつの揚げ物を覗き込みます。 筍とバラ肉の重なりが魅惑的な歯触りを予感させる。tendan14.jpg何もつけずにそのまま、せーのと齧る。 うほほほほー。 予想に違わぬ筍のシャクっとした歯触りにサクっとした衣。 そこへ豚の脂の甘みとどんぴしゃの加減で味噌の風味が一体となる。 うんうん、うん。 例えば、トンカツ屋や洋食屋で残念な光景に出くわすことがある。 揚げ物が塩辛かろうが、サックサクの衣であろうが、兎に角取り合えずとんかつソースやウスターをどっぷりと廻しかけて、ソース味一色にしちゃってる御仁のテーブル。 本人の嗜好だから他人がとやかく云うことでもないのかもしれないけれど、そんなひとにこそおススメしたいのがこの、「たけのこのミルフィーユ味噌カツ」だ。 レシピをいただいたので、週末あたりにLe’s cook、いかがでしょ。 ご想像通り、ビールのお供にもよろしからずや。 あ、ひかり味噌では、「一品入魂!」と呼ぶサイトで味噌を楽しむレシピを紹介しているそうですよ。

別に名古屋の味噌カツを否定している訳じゃないのヨと呟きながら(笑)、 筍ご飯を口に含んだら思わずニヤリ。tendan15.jpg決して過ぎない、塩梅のいい味噌風味が味蕾をふわっと撫でてゆく。 味噌仕立ての筍ごはんというのもあり、だね。

以上の「ひかり味噌」を使った「天壇」考案の四品は、いまのところメニューにないのでひょっこり「天壇」を訪ねても、食べられない。 うーむ、それは残念だ(笑)。
tendan16.jpgそうそう、「天壇」のグランドメニューには、 「チゲ味噌汁」という”味噌”メニューがある。 石焼きグツグツ熱々のピリ辛スープの味噌汁は、魚介あれこれに豆腐や肉に野菜たちと具沢山だゾ。

京都・祇園発の焼肉の名門、「天壇」銀座店。tendan17.jpgtendan18.jpg三原橋の上空から眺める銀座の風景を借景に、 焼き肉、そして本格韓国料理が堪能できる。 そして今日、仕立てよく和食もこなすと知りました(笑)。 帰り際に「アメちゃんです」と薄荷の飴を渡してくれる瞬間に、京都のお店であることを想うのです。


「天壇」銀座店 中央区銀座5-13-19 DUPLEX GINZA TOWER 5/13 10F [Map] http://www.tendan.co.jp/
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