琉球料理「古都首里」でミヌダルドゥルワカシーイカ墨ジューシー

kotoshuri.jpg定番的に、都内各所に見つかるようになっている沖縄料理のお店たち。
そんな中の一軒が、三軒茶屋にもあると知ってやってきました。
茶沢通りを北上してしばらく行ったビル地階。
階段の手前に臙脂の暖簾を掲げているのが、琉球料理「古都首里」です。
漆の朱色とともに守礼門から正殿への首里城の景色が一瞬浮かび、宮廷料理もいただけちゃったらいいのにな、なんて期待交じりに階段を辿ります。

店内の雰囲気は、つまりは居酒屋調。
でも、雑然とした印象はなく、いろいろなところで細かく気を使っているのが窺えて、居心地は悪くなさそう。
案内されたテーブルに座れば、卓上に「めんそーれ!」とウェルカム・カード。
沖縄料理は「ぬちぐすい(命の薬)」です、という常套句をさりげなくメッセージしてくれています。

kotoshuri02.jpgまずはやっぱり、オリオンで乾杯を。
早いところで、基本形塩味の「島らっきょ」。
あ、らっきょが苦手でもコレは大丈夫だったりするンだ、よかったよかった。
そう云いいながらシャクっと齧っては、ふたたびオリオンをくぴくぴ。

お品書きのページを捲ったら、お、「宮廷料理」と括った八品があるじゃありませんか。
少量ずつを盛り付けた「おためし五品盛り」から、昆布の炒め物「クーブイリチー」、豚肉を猪に見立てた汁物「イナムドゥチ」、そして炊き込みご飯の「ジューシーセット」まで。kotoshuri03.jpgありそでなさそな「田芋の唐揚げ」は、琉球版大学芋のような表情もみせるけど、ホッコリ具合と甘さが歯切れの良い軽さだ。

そして、琉球料理店「山本彩香」で強く印象に残って以来、これを見つけたら注文まずにはいられない「ドゥルワカシー」。
めくるめく琉球料理の本懐を教えてくれた「山本彩香」は、この8月一杯で閉めてしまうと聞く。
ああ、なんとも寂しいけれど、残念だけれど。
「ドゥルワカシー」は、唐揚げと同じ、田芋(ターンム)の練り物というか和え物というか。kotoshuri04.jpgカステラかまぼこ(ここでは玉子かまぼこ)、や豚肉や椎茸を潰した田芋で練り上げた素朴なお品。
石垣で出会った、八重山膳符「こっかーら」のそれも、郷土料理「華穂」のそれも、「辺銀食堂」の「ターンムワカシー」もそれぞれに違っていたことに思い至ります。

kotoshuri05.jpg泡盛は、今帰仁酒造の「美しき古都」からヘリオス酒造の「琉球美人」へと呑み進みます。
定番「ラフテー」と一緒に届いたのが、そう、同じ豚さん料理「ミヌダル」。
豚ロースに黒胡麻のペーストで衣に捲いた粋なヤツ。kotoshuri06.jpgパサつき感があって、仕上げの精度は「山本彩香」の「ミヌダル」にやや劣る気もするし、形状も違うけど、頑張ってる感じもして、いいな。

kotoshuri07.jpgここでグラスを宮古・宮の華酒造の「華翁 古酒」に代えて、ひと味違う定番系「味噌味ゴーヤーチャンプルー」。
うん、こふいふ仕立ても悪くないゾ。

こうなりゃ、最初から気になっていたこれで仕上げてしまおうと、「イカ墨ジューシー」。kotoshuri08.jpgあおり烏賊のイカ墨で炊いた軽くもコクのある雑炊だ。
結構満ちていたお腹に意外や、するんと入ってしまうのです。

宮廷料理さえも気軽に手軽に供してくれる、琉球料理「古都首里」。
沖縄中部出身だというホールスタッフの、朗らかさと毛深さに和んだりもして。
お土産にころんと丸いサーターアンダギー用意してくれている、そんな心意気もぷち嬉しいのです。

「古都首里」
世田谷区太子堂2-24-6 ドミー三軒茶屋B1F [Map] 03-5431-3275
http://kotoshuri.com/

column/02854

「琉球料理「古都首里」でミヌダルドゥルワカシーイカ墨ジューシー」への4件のフィードバック

  1. まさぴ。さま。
    でましたねーまたまた琉球の粋!
    東京の琉球を愛でるにはまさぴ。さんのエスコートが必要ですね。。
    芋関係のお料理達にものすごく惹かれます!
    それにしても。「山本彩香」に是非おジャマしたかったのに非常に残念です!!

  2. Re;ららさま
    いつでもエスコトーいたしますですよ、レィディーらら様っ。
    ホントはかの地へびゅんと飛んでいっちゃいたいところなんだけどね。
    そして、そうそう、「山本彩香」のあの世界観にもう浸れないのかと思うと切ないであります。
    一時閉めていて、復活して、やっぱりまた閉めてしまうことには、あんまー彩香さんにもいろいろと想いと事情があるのでしょうね。
    「さとなお」さんによると、違う店名で違う形態の昼のみのお店を計画しているそうだけど、そこにあの世界観はないンだと思うんだ。
    ご一緒したかったね~。

  3. むっしゅぅまさぴ。さまっ。
    そぉかぁ、お昼だけの計画もあり。。
    そうですね、夜のお店とお昼のお店とではきっと雰囲気が全く違いますね。
    同じ人の創る同じものを食べていても。
    でもその同じ人も昼と夜とでは気分が違うし!
    まさぴ。さんのおっしゃる「世界観」って、モノスゴク当てはまるいい言葉だと思います。
    その世界観を再現するにはびゅん、で解決?
    そうでもないか。。。

  4. Re;ららさま
    彩香さんが著した「てぃーあんだ」って本があるのだけど、そこに描かれている琉球の郷土料理や花街の空気感と実際にお邪魔していただいた料理たちと彩香さんの優しい笑顔なんかが入り混じったイメージなんですよー。
    「てぃーあんだ」は、心をもめて料理をつくる、もてなす、ってな意味だそう。
    もうなくなってしまうのかと残念でなりましぇん、ス。

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