ステーキハウス「誠」で 印象的な旨味の軽やかさ路地裏のサロン

makoto.jpg三越前から昭和通りにかけての本町界隈。 気をつけていないと通り過ぎてしまうような路地に、ずっと気になっていたお店があります。 ステーキもそしてカキフライもイケると云う、日本橋「誠」。 ただ、ほいほいと気軽に訪れる訳にはいかない料金構成が、そのまま敷居の高さとなって立ちはだかっていたというのが正直なところ。 今宵は意を決して(笑)、本町の裏路地に闖入です。
その裏路地にくすんだ赤いテント地を突き出しているのは、 makoto01.jpg 以前一度訪れたことのある「誠」姉妹店の「シンセリティ」。 makoto02.jpgその斜向かいに「誠」があると記憶していたのだけど、ドアの貼紙には2年ちょっと前にそこからさらに斜め向かいへと移転したとある。 「誠」のカジュアル版レストラン「MOTOKO」だった場所が、新「誠」になったのだね。 暗がりに臨む外観には店名らしき表示はない。 洋風設えの重厚さも漂うドアを引くと、一転して白木のカウンターが右手の厨房を囲んでいる。 壁廻りは石を配しているものの、「らっしゃい!何を握りましょう」と声を掛けられてもまったく違和感のない佇まいだ。 makoto03.jpgmakoto04.jpg 如何にもひとクセありそうな大将が、「初めてですね」と迎えてくれる。 ご一緒いただいたヒロキエさんとご無沙汰しまして、と乾杯。 すっと差し出されたお皿には、千切りのキャベツにコールスロー、そしてそぼろ状のものが盛り合わせてある。 そぼろは、牛肉の佃煮で、ステーキの端肉を無駄なく使ったものだよ、と大将。 「よく混ぜてからどうぞ」。 佃煮がアクセントになりつつ、あっさりしたドレッシングの加減もよく、幾らでも食べれてしまいそうなお皿に空かさずお代わり(笑)。 「誠」にメニューはない。 「さて、どうしましょう?」と訊かれても、いや、あの、初めてなのでと戸惑った表情を示すと、「海老フライ、牡蠣フライ、牛刺し…」。 そこで「あ、牡蠣フライをぜひ」、そしてヒロキエさんは「海老フライをぜひ」(笑)。 ということで、海老フライと牡蠣フライの一緒盛りがやってきました。makoto05.jpg 細やかなパン粉に包まれた小振りの海老は、甘さの引き立つ揚げ具合がいい。 makoto06.jpgmakoto07.jpg そして、秘かに待望していた牡蠣フライも同じく、繊細な衣を纏っていて、しかもたっぷりサイズ。 宮城からのものと云う牡蠣の味わいに濁りなく、どこまでも軽やか。 うん、出色の牡蠣フライのひとつに数えてもいいかもね。 シーバスの水割りを舐めているところへ早くも「焼きましょうか?」と大将が訊くのは、お腹が満ちてきてからステーキをという展開は避けたいという意図が働いているようで、ここは素直に御意に従うこととします。 「150g、200g、…」とボリュームを示す大将に、控えめな量が美味しいのさ(?)と、「150gで」。 makoto08.jpg背中の冷蔵庫から大将が取り出したのは、おお、なるほどの肉塊。 すすっと包丁を入れ、周囲や脂の部分を切り整える。 その端切れが、「シンセリティ」のカレーに入ったり、佃煮になったりするのだね。 用意されたお皿にたっぷり盛られた山葵に気を奪われているうちに、その脇に焼き色細やかなステーキが添えられました。makoto10.jpg makoto09.jpg気がつけば焼き加減を訊かれることもないまま届いたお肉は、ミディアムレアな断面をみせている。 そのまま端のひと切れを口に運ぶと、すいん、と厭味なく消えていく。 なはは~、と思いながらその隣のひと切れ。 「わさびはたっぷり」ということで試してみれば、その香気は食べ口の軽やかさを加速する。makoto11.jpg辛味のほぼないところはホースラディッシュのようだけど、大将曰く、伊豆の山葵だという。 次のひと切れ、次のひとキレと遮二無二口に運び、最後の一片にニンニク醤油を垂らす。 それでやっぱり山葵が一番似合うことがよく判る。 ああ、それにしてもなんと印象的な旨味の軽やかさであろう。 これなら、この倍も余裕で食べれたかも(笑)。 リブあたりと部位を訊ねながら、銘柄を聞きそびれたのが悔やまれます。 これもまた「誠」のスペシャリテときく「あさりのコキール」は、makoto12.jpgぶつ切りの浅蜊から滲むエキスがさらっとしたベシャメルに上手く煮含まれていて、いい。 〆に用意されているのが、ガーリックライスか鰹節ご飯。 makoto13.jpgmakoto14.jpg ここで猫マンマ、ってのも愉しいかも~と鼻息で鰹節を飛ばしながら(笑)、海老出汁の味噌汁をズズズズズ。 なんだか、あっと云う間の出来事の後のようにひと心地ついていると、 「コーヒーいかがです?」と訊く大将。 コクンと頷くと、カウンターに置いたカクテルグラスにボトルの琥珀を注ぐ。 ブランデーに続いて、冷えたコーヒーを注ぎ、トップに生クリームを浮かべて出来上がり。makoto15.jpgコーヒーのすっきりしたコクとほの苦味にブランデーの風味とクリームの滑らかさが相俟って、おー、なんか妙に旨い。 海老フライ牡蠣フライに、メインのステーキにコキール、猫まんまに〆のコーヒーと、澱みや重さのない一連の仕立てに不覚にもふんふんと唸る。 そして、高級ステーキに小料理屋的と洋食屋的が交錯する不思議。 ちょっと厨房の景色で印象的だったのが、大将の脇で背中を強張らせて如何にも萎縮している様子の若いモン。きっと大将、スタッフには厳しくそしてめっちゃ恐いのだろうね(笑)。その緊張が伝染してちょっとした居心地の悪さに繋がる気配があるンだ。 常連もしくはリピーターらしき客筋がやってくると兄貴風の馴れ合い口調で話しかけ、途端に一見さんは蚊帳の外になりかける風がある。 でもここでは例えば、オーセンティックなバーのようなホスピタリティを求めちゃいけなくて、常連になるほどに大将のキャラが馴染むほどに居心地がよくなるという、サロンのような一面も持っているのかもしれないね。 日本橋路地裏のステーキハウス「誠」。makoto16.jpg サロンの一員にはなれそうもないけど、あのフライとあのステーキには再会したい。 この扉を今度引き開くのはいつのことになるのかなぁ。 口関連記事:BEEF CURRY・STEW 「シンセリティ」で 脂の甘さアト引くカレー(06年05月) 「誠」 中央区日本橋本町1-4-5 [Map] 03-3241-7502
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