酒「鍵屋」

kagiya.jpg下町の居酒屋情緒溢れる「鍵屋」へ。永いこと、一度行ってみたいと思っていたんだ。言問通りから当てずっぽうに脇道に反れて裏道を覗くと、ちょうどそこに「鍵屋」のぼんやりとした黄色い灯りがありました。古民家を訪ねるようなそんな顔つきがいいやね。右手のカウンター席はほぼ埋まり、左手の小上がりの一卓に先客がある。よかった、入れるぞ。お通しは大豆の煮物。ちょいと喉を湿らせらすビールに、「うなぎくりからやき」と「合鴨塩やき」。ほどよい脂と辛めのタレがいい。さてお酒はと訊くと、「櫻正宗」「大関」「菊正宗」の3種のみ。順番にいただきます。ゆるりとした加減のいいお燗だ。卓上の木札のお品書きから、続けて「とり皮なべ」「さらしくじら」。頭の中で勝手にベーコン状のものを思い浮かべていたけど、そう「さらしくじら」はこの白ちりちりだ。鯨の尾びれの肉の塩漬けを薄くスライスし、ボイルするとこんなちりちりになるらしい。なんだか調子よくお銚子がグイグイ進んでしまい、「煮奴」「お新香」をアテにもう一本つけてもらう。頭上にはキッコーマン醤油の古いポスター。古道具店の中で呑んでいるような風情は、なかなかどうして悪くないね。「鍵屋」の今の建物は大正元年に建てられたもので、創業当時言問通り沿いに建っていた初代の建物は「江戸東京たてもの園」への移築保存されているそうだ。帰り際に送り出してくれる台詞がまたいい。「有り難う存じました」。 「鍵屋」 台東区根岸3-6-23  03-3872-2227
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